GRCを主材料として構成・製作されたパネルは、建築基準法の防火・避難規定に定める「耐火構造」の認定を取得しています。この認定により建築物の「外壁」や「柱はりカバー」として使用できます。この認定は、会員会社が取得した「個別認定」ですので、内容の詳細は各社にお問合せ願います。
建築基準法では、建築物火災からの人命・財産の保護を図るために「火災発生時の在館者の避難安全の確保」「建築物の倒壊等による周囲への加害防止」「市街地火災対策」などの複眼的な観点から講ずべき基準を規定しています。その中の一つに「主要構造部の制限」があります。建築物の規模・用途・立地に応じて、「壁・柱・はり・床などの主要構造部」について、一定の防耐火性能を要求しています。建築基準法第2条第7号で必要な耐火性能が求められていて、建築基準法施工令第107条で耐火性能の技術的基準が規定されています。部位・階数等に応じて区分されていて、GRCに関連するものとして下記の種別があります。
分野 | 分類 | 部位 | 時間 | 認定番号 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
防耐火構造 | 耐火構造 | 外壁(耐力壁) | 120分 | FP120BE | RC壁外断熱パネル |
60分 | FP060BE | ||||
外壁(非耐力壁) | 60分 | FP060NE | |||
30分 | FP030NE | ||||
柱 | 180分 | FP180CN | |||
120分 | FP120CN | ||||
60分 | FP060CN | ||||
はり | 180分 | FP180BM | |||
120分 | FP120BM | ||||
60分 | FP060BM | ||||
防火材料 | 不燃材料 | NM |
<合成耐火構造について>
柱・はりの耐火構造において条文にはありませんが、その被覆材の一部を外壁が構成するものを合成耐火構造と称しています。
建築物の外周部では、柱・はりと接して外壁が配置されることが多くあります。この場合外壁を先行して施工すると、柱・はりと外壁との隙間が小さくなり、柱・はりの被覆材の施工が出来なくなります。そこで、それぞれ認定された「柱・はり」の室内側被覆材と「外壁」の組合せで、試験を行って性能が確認されたものを合成耐火構造と称して認定・運用しています。
会員会社が取得している耐火構造の代表的なものです。これ以外にも取得していますので、詳しくは会員会社にお問い合わせ願います。
部 位 | 時間 | 番号 | 認定取得会社 | 名称 |
---|---|---|---|---|
外壁(耐力壁) | 120 | FP120BE-9028 | 北日本ダイエイ | ガラス繊維混入 / セメント板・ポリスチレンフォーム保温板張 / コンクリート造外壁(GS9㎜) |
外壁(耐力壁) | 60 | FP060BE-9041 | 北日本ダイエイ | ガラス繊維混入 / セメント板・ポリスチレンフォーム保温板張 / コンクリート造外壁(GS9㎜) |
外壁(耐力壁) | 120 | FP120BE-9035 | 北日本ダイエイ | 繊維混入 / 軽量セメント板・ポリスチレンフォーム保温板張 / コンクリート造外壁(GS12㎜) |
外壁(耐力壁) | 60 | FP060BE-9048 | 北日本ダイエイ | 繊維混入 / 軽量セメント板・ポリスチレンフォーム保温板張 / コンクリート造外壁(GS12㎜) |
外壁(耐力壁) | 120 | FP120BE-9012 | 日本ハウス | ガラス繊維混入セメント板・ポリスチレンフォーム保温板張 / 外壁(GS) |
外壁(耐力壁) | 60 | FP060BE-9021 | 日本ハウス | ガラス繊維混入セメント板・ポリスチレンフォーム保温板張 / 外壁(GS) |
外壁(非耐力) | 60 | FP060NE-9010 | 旭ビルウォール | 水酸化アルミ系耐火被覆/GRCパネル張外壁 |
外壁(非耐力) | 60 | FP060NE-9004 | 旭ビルウォール | ガラス繊維補強セメントモルタル吹付パーライトモルタル板外壁 |
外壁(非耐力) | 30 | FP030NE-9001 | 旭ビルウォール | 水酸化アルミ系耐火被覆/GRCパネル張外壁 |
柱 | 180 | FP180CN-9029 | 旭ビルウォール | 水酸化アルミニウム・ガラス繊維混入セメント系湿式吹付材被覆/ステンレスワイヤーメッシュ入ガラス繊維補強セメント板張/中空鋼管柱 |
柱 | 120 | FP120CN-9021 | 旭ビルウォール | 水酸化アルミニウム・ガラス繊維混入セメント系湿式吹付材被覆/ステンレスワイヤーメッシュ入ガラス繊維補強セメント板張/中空鋼管柱 |
柱 | 60 | FP060CN-9004 | 旭ビルウォール | 水酸化アルミニウム・ガラス繊維混入セメント系湿式吹付材被覆ステンレスワイヤーメッシュ入ガラス繊維補強セメント板張/中空鋼管柱 |
はり | 180 | FP180BM-9022 | 旭ビルウォール | 水酸化アルミニウム・ガラス繊維混入セメント系湿式吹付材被覆/溶接金網入ガラス繊維補強セメント板張/中空鉄骨はり |
はり | 60 | FP060BM-9008 | 旭ビルウォール | 水酸化アルミニウム・ガラス繊維混入セメント系湿式吹付材被覆/溶接金網入ガラス繊維補強セメント板張/中空鉄骨はり |
「個別認定」の詳細は認定取得会社にお問い合わせ願います。
<住指発第510号:耐火構造の外壁に施す外断熱工法の取り扱いについて>
外断熱工法用パネルに使用する有機系発泡材料の種類は、下記の様に規定されています。
参照:【建築物の防火避難規定の解説-2016:日本建築行政会議編】P14
JIS A 9521にある発泡プラスチック系4種類ビーズ法ポリスチレンフォーム、押出法ポリスチレンフォーム、硬質ウレタンフォーム、フェノールフォーム
GRC板を面材とした下記パネルが、耐火構造の認定を受けています。
北日本ダイエイ社 | GHタイプ( 9㎜) FP120BE-9028/060BE-9041
GNタイプ(12㎜) FP120BE-9035/060BE-9048 |
---|---|
日本ハウス社 | GSタイプ FP120BE-9012/060BE-9021 |